令和3年3月改正
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」講習会

Q&A

2021年4月6日更新

質問内容回答
1 質問1 本改正はすでに施行されているか。
質問2 多機能トイレの車いす回転半径φ1800は特別特定建築物のみ対象か。
・建築設計標準は令和3年3月16日に改正し、国土交通省ホームページで公表していますが、法令ではありません。
・座位変換型の(電動)車椅子使用者が360°回転できるよう、床面積2,000㎡以上の不特定多数のものが利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する建築物において、直径180cm以上の円が内接できるスペースを設けることを標準としています。ただし、それ以外であっても、利用用途や利用者のニーズ等に応じて、建築設計標準を参考に、適宜、ご検討をお願いします。
2 道路の円滑化整備ガイドライン、都市公園の移動円滑化整備ガイドライン、建築設計標準など、類似する基準が多くありますが、公共事業では敷地内の通路等の屋外空間は重なる部分があります。使い分けの考え方をご教示ください。 ・国土交通省では、道路、都市公園、旅客施設、建築物等、それぞれの施設種別ごとに、ガイドラインを整備しています。敷地内の通路等の屋外部分については重複する場合もありますが、利用用途や利用者のニーズ等に応じて、よりよい施設計画となるよう、建築設計標準をご活用ください。
3 ・パブコメのQAを拝見し、「実際の室名表示を「高齢者障害者等用便房(バリアフリートイレ)」とすることは特に求めているものではありません。」と記載がある一方で、「「多機能」「多目的」等、利用対象とならない方を含め、誰でも使用できるような名称ではなく」との記載もあります。つまり、「特別な名称を付けなくともよいが、少なくとも「多機能」「多目的」という表現を用いてはならない。」という意図かと推察いたします。
・当方の施設では、極力、設計標準の意図に沿って図記号などを活用したいと考えております。
・一方で、トイレ前にて自動音声で配置をご案内する音声案内及び点字など、視覚障害者に対する情報提供については図記号以外の方法で位置等を把握していただくことが必要です。例えば、個別の独立型大型ブース(現在の多機能トイレ)について、音声による表現を用いてその個室をご案内する場面がございます。(左手に男子、中央に多機能、右手に女子、などを短文・多言語でご案内)
・また、フロアガイドやHPの案内MAPなどの判例では、文字で国際シンボルマークが何を指すかを示す必要がございます。
・上記のように、室名の表示をせざるを得ないケースがいくつかあり、その場合、これまで多機能と称していたものを、「バリアフリートイレ」や「車いす使用者用便房」と表現してご案内することになります。例えば音声案内でこういった放送が流れたりフロアガイドにこの様な記載があるとと、パブコメでご意見の多かったLGBTの方などが入室しにくくなることが懸念されます。
・上記のような場合は、LGBT排除と受け取られることを懸念しております。他機関の事例で、音声案内等の表現の仕方など好事例があれば、ご教示いただきたく存じます。(点字も「タキノー」以外の事例があれば、ご教示いただけますと幸いです)
・ご指摘の通り、「多機能トイレ」に利用が集中し、障害者等が使いたいときに使えない実態があることを踏まえ、機能の分散化や適正利用の推進を図りつつ、「多機能」「多目的」等、誰でも使用できるような名称ではなく、ピクトグラム等のみで表示する工夫を行うこととして、建築設計標準に盛り込んでいます。
・また、性的マイノリティの利用等、男女共用便房の設置に対するニーズも高まっていることを踏まえ、建築設計標準p2-127において、「男女共用トイレ」のピクトグラムの事例をお示ししています。
・音声案内、点字表記についての具体の事例は承知しておりませんが、誰でも使用できるような運用ではなく、適正な利用を推進するといった主旨を踏まえ、利用者のニーズ等に応じて、よりよい施設計画となるよう、建築設計標準をご活用ください。
4 テキスト2の77ページの車椅子使用者用便房の図について質問です。
ブースの寸法200㎝×200㎝の場合、大型ベッドを入れると、介助者が立って、介助をするスペースがなくなるという指摘を専門家の方からよく受けるのですが、実際どうなのでしょうか。
こちらの図では、200㎝以上となっていますが、200㎝の場合でも、大型ベッドを入れることを推奨しているように見えます。
これは、介助なしの車椅子使用者が使う場合を想定した寸法なのか、介助者がいてもギリギリ使えますよ、ということなのか、どういう意味としてとらえたらよいでしょうか。
よろしくお願いします。
・大型ベッドの設置及び介助者の同伴等の多様な動作を考慮した車椅子使用者用便房は、原則として座位変換型の(電動)車椅子使用者が360°回転できるよう、直径180cm以上の内接できるスペースを設け、かつ有効内法寸法は200cm以上×200cm以上としております。
・具体的には、講習テキストp77では、180cmの内接円を含めた有効内法寸法220cm×220cmのモデル例、講習テキストp78では、有効内法寸法215㎝以上×240cm以上の設計例を示しております。
5 イベント等で一時的に設置する仮設トイレ等についても同様のレベルを求めていくのか、方針で構わないので伺いたい。特に多機能トイレについては、既存のレンタル製品では車イス対応のみされたものがほとんどで、オストメイト対応や、乳幼児連れ対応をされているものが見られない。さらに、汲み取りで対応するとなると、オストメイトについてはかなりの負担が設置者にかかることとなる。 ・建築設計標準では、仮設トイレに関して記載していませんが、利用者のニーズ等実情に応じて、必要な対応を行うことが望ましいと考えます。
6 改正された設計標準ですが、地方自治体向けの講習会は検討されているでしょうか?今まで改正前の設計標準ギリギリの公共施設が出来上がり、車いす使用者が使いづらい事態になって居る所があります。是非都道府県、政令指定都市等地方自治体向けの講習会を開いて頂き、新設施設設計に強く反映頂く様お願い致します。 ・3/23のオンライン講習会については、設計者、建築主、審査者、施設管理者、行政等の担当者を対象にライブ配信を行いました。
・また、令和3年3月25日(木)~令和3年5月7日(金)まで以下のURLにて、講習会の録画配信を行っております。
https://koushuukai.com/barrierfree/
引き続き、建築設計標準の周知に努めてまいります。
7 【車椅子使用者の転回スペースに関して】
「2-289」に、手動車椅子の180°回転の最小動作空間として、「170×140」と記載がありますが、「2-70」・主要な経路上の出入口前後には、車椅子使用者が直進でき、方向転回できるよう、140㎝角以上の水平なスペースを確保する。「2-216」・25m以内ごとに設ける車椅子の転回に支障がない場所は、原則として140cm角以上とする。などと記載があります。これは、車椅子使用者が180°転回するには「前後170cm×幅140cm」必要だが、通路上に計画するスペースの為、通路の前後にスペースがあると想定して「140cm角以上の水平なスペースを確保する。」と、表記されていると解釈してよろしいのでしょうか
・車椅子の製品にもよりますが、建築設計標準p2-289の直角路の通過「140cm×170cm」は、車輪中央を中心に180°回転される最小寸法と想定しております。一方、建築設計標準p2-285に示す車椅子が転回できる寸法140cm×140cmは、車椅子が静止した状態で片側車輪のバックを含めて、車椅子が転回できる最小寸法として、掲載しております。
8 令和3年3月改正の内容は、何年何月から施行されるのでしょうか。多目的トイレの分散化、車椅子専用トイレの内法寸法等、具体的に出て来ておりますので、計画段階で施主に説明する時に聞かれると思います。 ・建築設計標準は令和3年3月16日に改正し、国土交通省ホームページで公表していますが、法律ではありません。
・本内容をもとに、建築主への提案等にご活用いただきますようお願いします。
9 1.小規模店舗に係る内容として「A5廊下、階段」の説明をしていただいた中に、「主たる階段の有効幅員は、120cm以上とする」を追加したとありました。建築設計標準本編中のP2-90の記載は小規模店舗の縛りが無いように見えること、またP2-88には「・屋外階段でも日常利用されるものについては、屋内階段と同様の配慮が求められる。」と記載があることから、「主たる階段の有効幅員は、120cm以上とする」ことは屋外の階段においても標準的な整備が求められる内容として考えてよろしいでしょうか。
2.本日の説明資料には「下線は法令上の適合義務基準」と所々に記載がありますが、建築設計標準本編における下線も同様の意味と考えてよろしいでしょうか。
1.施設の規模にかかわらず、主たる階段の有効幅員は120cm以上とすることを標準としています。屋外も同様です。
2.講習テキストの下線は、建築設計標準における下線と同様、法令上の適合義務基準です。建築設計標準p2-43をご参照ください。
10 二点、ご質問させていただきます。
① 改正建築設計標準の施行日は、ありますでしょうか。
② テキストP18「バリアフリー法に基づく基準と建築設計標準の関係」にて、建築設計標準は、法に基づく義務基準とは関係なく、あくまでも参考とするものとのご説明がありました。それでは告示第1496号第二号で「車いす使用者が円滑に利用することができるよう十分な空間が確保されていること」と義務化されている「十分な空間」とは何か、ご教示いただきたいと思います。
① 建築設計標準は令和3年3月16日に改正し、国土交通省ホームページで公表していますが、法律ではありません。
② ご指摘の告示に示される「車椅子使用者が円滑に利用することができるよう十分な空間が確保されていること」についての具体の運用については、特定行政庁によります。
11 「P89ページの呼び出しボタンに関して」
・呼び出しボタンは、暖色系とJISではなっているようですが、エレベータの非常ボタンと同じような仕組みは考えられないのでしょうか。特に双方向の会話ができることが大切です。
観光地行くと、非常ボタンをできるだけ触らせない工夫が多く見られます。それは、洗浄ボタンと誤って押されるからだそうです。外国の方に多いととのこと。管理の方からは、そのたびごとに駆けつける必要がありますので、そうした工夫があるようです。また、実際トイレで倒れる方は多く、知人は4時間ほど閉じ込めれ他のことでしたが、急を要する場合は、一刻の猶予もできません。すぐに消防等への連絡が付くような仕組みが必要と思います。そのためには、会話ができる非常ボタン(SOS)にすべきと思います。
また、JISの図では、実際に今ついている、呼びだしボタンからついている紐のことが考慮されていないため、手洗いの上に記載されていますが、実際は、89ページのように手洗いにの横になっています。しかし、写真の位置になると、体の真横又は後ろになるため、気づかないか又は押しにくい場所になっているようですので、良い設計例とは言えないと考えます。

「P84ページの授乳室の写真に関して」
・設計例を上げるならもっと理想的なものにしたらどうでしょうか。給湯設備や使用した哺乳瓶を濯ぐ洗面器も無いようですし、乳児が落ちついて授乳できるような雰囲気がないようにも見えます。また、便所の一画のところにあるという配置も疑問が残ります。良い設計事例として取り上げるのはいかがでしょうか。
・便房内の呼出ボタンについては、JISに基づくものを基本にしつつ、個別の事情や利用する当事者の意見等を踏まえて改善点を検討することは望ましいことと考えています。
・授乳室の設計標準は、建築設計標準p2-252~254に写真と併せて掲載しております。調乳のための給湯設備や哺乳びんの洗浄のための設備は、留意点において、望ましい整備としてご紹介しています。

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